今日は学校祭の最終日で、主な行程は衣装を来て山車を引きながら市内を歩くパレードと後夜祭。
泣きたくて、辛かったけれどみんなとワイワイやっている間は考えないでいられた。
パレードを終えてから、後夜祭の準備に取りかかる。
後夜祭では、その年の最優秀クラスの発表やさまざまなイベントが行われる。
参加自由なため、去年のあたしは参加しなかった。
けれど今年は優輝ちゃんたちに誘われて、参加してみることにした。
少しでも、忘れていたかったからかもしれない。
希望者が出場するするパフォーマンスステージでは、生徒がバンドを組んで歌ったりしていて。
そう言えばあたしたちAriceも、こういうイベントで組んで出来上がったバンドだったということを思い出した。
…懐かしいなぁ。
また感傷に浸ってしまいそうになり、そっとその場を抜け出した。
やって来たのは体育館裏で、人気もなくひっそり閑としていた。
薄闇に包まれていて、ライブの盛り上がりで火照っていた体も、ひんやりと冷えていくよう。
…意外と、いけそうな気がしていたんだけどなぁ。
けれどやっぱり、思っていたよりもきつかったみたいだ。
心にポッカリと穴が空いたみたい。
あたしの中で暁くんの存在はこんなにも大きかった。
けれどもう、会うことはない。
この穴が埋まることは、ない。
…楽しかった、幸せだった。
暁くんがくれたもの、大切にするから。
どんなにひどいことを言われても、忘れるなんて、嫌いになるなんて無理だよ。
またうっかり泣きそうになってしまい、グッと堪えながら空を見上げた。
今日の夕陽は、また一段と綺麗だった。