ケータイ小説 野いちご

【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐

第2楽章‐カンタービレを奏でて‐
♪ 天才も風邪をひくらしい。






ふぅ…。




あたしは、何度目になるかわからないため息をそっと溢した。




今あたしは、原田さんがオーナーを勤めるライブハウス、“リコール”に来ている。





学校帰りにここに来るようになって、もう一週間になる。





原田さんや、愁生さん、李織さん優兄にはいつも会えるのに、未だ暁くんには会えていません。





「柚姫ちゃん、ため息なんかついちゃって。せっかくの可愛さが台無しだよ?」





そんなとき、苦笑いを浮かべた愁生さんがあたしの頭を撫でてそう言った。






それを見ていた李織さんは、優兄のドラムスティックで愁生さんの頭を小突きながら、いつもの眠そうな目のまま、無機質に口を開く。






「愁生、わかってない。女の子の憂い顔…、すごく綺麗でそそられるのに。」





そそられ…っ!?





「お前はなんつーことを口走るんだ。柚姫ちゃんびっくりしてるだろ。」





あたしがビックリして硬直していると、横から助け船をだしてくれた原田さん。






そのことにホッとしつつ、李織さんに苦笑いを向けると、何故か頭をなで回された。





「無自覚…、無防備…。このタイプは、これだから困る…。」







< 130/ 450 >