オムライスのおいしそうな香り。



黒いスーツを着た女の人が運んできた。

丸いテーブルにオムライスを置くと、あたしたちに不審な目を向けながら足早に部屋を出ていてしまった。



7時30分。

忙しい時間帯なのかもしれない。



「おいで」



いすに座る楓。



少し開いたカーテンからはキラキラと建物や車のネオン。


立ち上がろうとしたけど、足に激痛が走る。

あたしは首を振った。



足がしびれて立てないのだ。



「しびれた……」



じんじんと足を麻痺させる痛さ。


痛い……

感覚もないよ……



「仕方ないな…」



テーブルの上にぽつんと置かれたオムライスを、あたしがいるベッドまで持ってきてくれた。



予想外な楓の行動に、あたしは動けなくる。




「ここなら…大丈夫だろ?」