「……それで~、…って聞いてるの?にこ~」


あたしはへらりと笑って


「きーてるよ~」


と生返事。


「………明日のたいくめんどくさいよね」


「うん、うん」


「……化学の村上ちゃんてカツラなんだって」


「うん、うん」


「………にこのばぁか」


「うん、うん……、ふぎゃぁーーっ!?」



「村上ちゃんは堂々としたつるっぱげだ。にこのくせにいい度胸じゃないの~~??」


いつまでもぼんやりへらへらしてるあたしに切れた友達の中村凛子(ナカムラリンコ)が思いっきりあたしのほっぺたを引っ張った。



「なにへらへらしてんのよ!とっとと吐きな…!!」


「…………!!」


そのあまりの剣幕にあたしはつねられた頬をさすりつつ、ひぃ…っと固まった。


「なになに~?またにこたん凛子にしめられてんの?」


「今度は何したわけー?」


それを見ていた周りの子達も面白がって集まってくる。


あっという間にあたしの回りには女の子達の壁が出来上がった。



「………さぁ、吐きなさい?」



ジリジリとにじりよる凛子や面白がってる友達の顔を、蛇に睨まれたカエルよろしく…だらだらと脂汗をかきながら見つめ返した。








「……えっとー…そのぅー………」