心の整理をつけたつもりでも、やっぱりすぐには無理だった。


自然に目で彼を追ってしまう。


目が合う度に、視線を外す。


「最近元気ないよね。大丈夫? 」


放課後の教室。

周りの生徒たちがそれぞれに行動する中、前の席に座る優希が心配そうに顔を覗き込む。


「大丈夫。元気だよ 」


そうニコッと笑って見せるけれど、すぐに表情は下がっていった。


「それならいいけど。何かあったら言ってよね。あ、ちょっとトイレ行ってくるわ 」


「ありがと 」


そう後ろ姿を見送ると、ふうとため息をついた。


ありがたい言葉。


優希がいてくれてよかった。


私はノートをパラパラと開きながら優希の帰りを待つ。



「ルキアぁ~、今日こそ一緒に帰ろうよ 」


「ケイトくん達も一緒に! ね、いいでしょ? 」


女子たちの弾む声が廊下から聞こえてきた。