小さくなる後ろ姿をぼんやりと眺める悟に、突然誰かが声を掛けた。


「何してんの、あんた」


「え」


悟が振り返ると、頭にちょこんとサングラスを乗っけたマリアが不機嫌そうに突っ立っていた。


普段は馴染みのないニットを目深にかぶり、腕組みなんかしている。




「マリア…」


「何してるん?」


「や、何も」


反射的にそう答える。


「ふうん…」


マリアはじーっと彼の顔を見た。




「さっき悟…藍と抱き合ってたやんなぁ」