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「………朔夜」

「………なんだ」


心配そうな声に返せば、晶は少しずれた眼鏡をあげながら口を開いた。


「椿ちゃんのことなんだけど」

「………」

「気になることが、ある」


真剣な声音に俺は小さくため息をついた。


「――――晶」

「なに」

「今は、まだ黙ってろ」

「朔夜?」

「あいつの、やりたいようにやらせとけ」


缶コーヒーを飲みながら、俺は晶を横目に見る。
頭がきれる奴は大変だ。
知りたくないことまで気付いてしまう。


「俺が、正しかったら」

「晶」

「朔夜、だけど……!」

「俺がいる」


中身のなくなった缶を近くにあるゴミ箱に向けて投げる。綺麗に入っていったそれに心の中でガッツポーズ。