雨野ルイ(アマノルイ)は、朝の満員電車の中で死にかけていた。

手すりにしがみつくようにつかまって立っているのがやっとの満員電車に、
「――キツい…」

ルイは苦しそうに呟いた後、目玉だけを動かした。

右を見ても左を見ても、人、人、人ばかりである。

高校2年生=電車通学2年目のルイ。

もうなれてもいい時期だろうが、やっぱりなれない。

いや、なれろと言う方が間違っているだろう。

そんなことを心の中でぼやいていた時、電車内にアナウンスが流れた。

(助かった!)

そう思ったのは、次で降りる駅だからだ。