ウェンディーズの携帯を拾って数ヶ月後。
灑梛とウェンディーズは関わり合うようになり、だいぶ親しくなった。

もちろん、まだ灑梛の正体は知られてはいない。

「きゃあぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁああぁぁッ!!」

いつかのように、廊下から女子の黄色い歓声が聴こえてくる。

「おぃ、灑梛…お前のせいで、今日もうるせぇんだけど」
『知らん。私が来いと言っているわけじゃない。
向こうから勝手に近付いてくるだけだ』

あの日のことは、瑞希に教えた。
あの日のせいで灑梛はウェンディーズに気に入られ、毎朝会うはめになった。

「やぁ、灑梛さん…今日もお美しい。」
『うふふ…お上手ですわね、ウェンディーズ様?
ありがとうございます』

こうした挨拶を毎朝交わし、他愛もない会話をして、別れる。
周りからは、
「付き合っている」
とか、
「美男美女カップル」
と騒がれていた。

『(ふざけんな、美男美女カップルだぁ?そんなんまっぴら御免だ。なんで殺す奴と付き合わないけねぇんだ)』

灑梛は苛々が募る毎日だった。

「あ、今日放課後、僕の部屋に来て貰えるかな?」
『分かりました。お伺いしますわ。それでは、ごきげんよう…』
「うん、じゃあね」

いつもは、他愛もない会話で終わり。しかし、今日は違った。