昔むかし、ある吹雪の晩のことです。


吉之助という一人の男が、雪の中を歩いていました。


すると、吹雪の向こうに人が立っているのを見つけたのです。



「一体、誰だ?」



吉之助は目を凝らして、見てみると、そこには銀の羽衣をまとった、それはそれは美しい女性が立っていたのです。


すると女性は吉之助に気付き、こちらに振り替えると


「見てしまいましたね、私の姿を・・・」



と言ったのです。


そう、女性の正体は雪女。


彼女は、自分の姿を見て怯えて動けなくなったところを見計らい、魂を食らう雪女だったのです。


当然彼もそうなると思っていたのですが、彼が言った言葉は・・・



「何をしているんだ!こんな吹雪の中を!!」


「えっ?」



雪女は驚き、自分の方が固まってしまった。



「アンタ死ぬ気か?そんなバカなことはするな!近くに俺の家があるから、そこに来い!」


「え・・・あの・・・」


「安心しろ。俺だって、バカじゃない。遭難者を襲うなんて道理の外れたことはしない。」



雪女は、あまりの展開にどうしていいか分からず、戸惑いながらも、吉之助についていきました。