「えっと、次は右だったよね」


大学生活が始まって2か月。


最近ようやく授業で使う教室の場所を覚えて、迷わずたどり着けるようになった。


「結菜!」


「キャッ!」


次の教室を目指して一人で廊下を歩いていると、後ろから誰かに抱きつかれた。


「ハハッ。ごめん。びっくりさせちゃった?」


「もーびっくりするよ、ナタリー」


私に抱きついてきたのは、入学式以来一番の友達になったナタリー


学科は違うけど、今は学部合同の授業があったりして、こうして会う機会が多い。


「結菜、どこに行くつもりだったの?」


「ん?次の授業の教室だよ?」


「次ってたしか、私と同じ授業だよね?教室、左に曲がらないけたどり着けないよ?」


「えぇー!?ほんと?」


自分が進んでいた道が間違ってると知って、思わず大きな声を出してしまう。