彼女は、引っ越してきた。
中1の春に。

彼女の最初に見た日、それは入学式の日だった。
今年は5人の転校生がやってきた。
男子が2人で、残りの3人が女子だった。
転校生は普通、早めに学校に来て、できるだけ自分から話しかけることは避けるはずだ。

だが、彼女は違かった。

普通の生徒より、少し遅めだった。
私たちがクラス発表でざわついているのなか、彼女は校門から入ってきた。
一瞬でみんなの視線が彼女に集中した。
いまおもうと、彼女はその一瞬がどれだけ「苦」だっただろうか。

彼女はあたりを見回した。
すこし動揺しながらかばんから眼鏡を取り出し、クラス発表の紙をみていた。

彼女が登場してから、おそらく軽く5分はたったであろう。
しかし、彼女に話しかけるものはいなかった。

それはどうしてだろうか。
彼女が「話しかけてくんな」オーラを発していたから?
彼女がいかにも「不良」だったから?

いや。どちらにも全く当てはまらない訳ではない。
ただ私が思うにだが、彼女に話しかけなかった理由は、これのほかでもないと思う。
「彼女が、あまりにも美女だったからだ。」


最近のかわいい子は、どこか気取っていて
髪を巻き巻きしたり、
制服を着崩していたり。

しかし、初めてみた彼女は、
髪をポニーテルにいていて、
スカートは人並みで、
特に目立つようなことは何もしていなかった。

髪は日に当たると薄い茶色にひかり、
眼鏡の奥から見える、
大きくて黒い瞳が、
より白い肌をひきたせる。
ざっと見、身長は160はあるだろう。
彼女とすれ違うと、
シャンプーの香りが辺りを包み込む。

彼女の美しさは男子はもちろん女子の気までを惹いていた。

これが、彼女の第一印象だ。