「ねぇ、黒川くん」



呼び止めるように、声をかけると黒川くんはピタリと止まって振り向く。




「……なに」


「あの、この間言ってた“タイプ”のことなんだけど」



一瞬、意味が分からないって顔をした黒川くんだけどすぐに「ああ」と思い出した。


だから、少し訂正をしてみる。




「今はもう違うよ?

もともと適当に考えたやつだし……」


「じゃあ、今のは?」


「えっ! ……ま、まだ秘密っ!!」


「なにそれ」



曖昧なわたしの答えに、黒川くんは顔をしかめた。


そんな黒川くんをチラリと見ながらも、自然と頬が緩む。




タイプは――クロネコみたいな人、です。