あたしの声に、『コクれ』コールが止まる。

あたしはマイクを握ったまま、ステージの階段を降りる。

静まりかえった体育館で、みんなの視線が一点に集中していた。



あたしは、生徒の群れをかき分けて歩く。

みんなが道を開けて、あたしたちを取りかこむ。



あいつの前で、ピタリと止まるあたし。



もうマイクはいらない。

あたしはマイクを降ろして、あいつと向き合う。



「あたしは…
あんたのことが、好きだ」