side 渉



「本当に何にもないよ
私の親は本当にいい人なの。


仕事で忙しくて会えない日とかあるけど、頑張って仕事をしてくれて、私の授業参観とか体育祭とかには絶対にどちらかが見に来てくれるの



すごく良い人たち。
そんな人たちとなんかあるわけないじゃん」




実桜はあの日から一度も見せなくなった、作り笑顔を浮かべた



俺だけに見せてくれる笑顔の欠片はどこにもなかった