「わぁ~。雪だ。」

 ひときわ幼い声が脳内に響く。

 当時小学一年生の川江 流羽奈(カワエ ルウナ)の声だ。

 まだ幼く、かわいい顔も、同時に浮かんできた。

「るぅちゃん(流羽奈)。雪だるまを作ろう。」
「うん。」

 返事の声も、うなずき方もすべてがかわいかった。

 桜は流羽奈とともに、雪だるまを作ろうとしたその時。


 バシッ~♪

「冷たい~~。」

 流羽奈の頬に雪の球がぶつかった。

 あまりにもの冷たさに、流羽奈は泣きそうになりかけた。

「るぅちゃん、大丈夫。」

 桜がそっと優しく声をかけると、流羽奈は涙をぐっとこらえた。

「海翔兄ちゃんが当てた。」
「海翔が?」

 桜が海翔の方に目をやると、海翔と目があった。