ケータイ小説 野いちご

[企]*white valentine*

3:真剣な目



年が明けた。



デパートのショーウィンドウは蓮さんが言っていた通り、小さな凧が上がっていた。

前を通るたび、蓮さんが無理矢理こだわりを貫いたんだと思うと頬がゆるむ。


「これも今日くらいでおしまいかなー……」


今日は1月5日。

お正月ムードもそろそろお終い。


休憩時間、ショーウィンドウの前に立ってゆらゆらと浮いている凧を眺めてため息をつく。

白く吐きだされた息はすぐに冬空へ溶けていった。


忙しいと言っていた通り、蓮さんは姿を現さなかった。

しばらく時間が空いてからバレンタインの飾りに変えるみたいだし、本当にバレンタインが終わるまで会えないのだろう。


「……いいよ、チョコあげるわけでもないし」


ショーウィンドウのガラスに映った自分に言う。


ガラスの中の自分は納得のいかない顔をしていた。


そんな自分に背を向けると私は仕事へ戻った。

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