さらにあれから1ヶ月が経ち。

私たちの間柄は、顔を合わす事もない、本当にただの隣人になっていた。

今日はとうとう新作の香水瓶の試作品が工場から出来上がって来る日。

別のグループが携わった中身も入り、これでOKなら大量生産に入る。

今日はその御披露目会だ。

と、言っても我が社の会議室でデザイナーさんを交えての話し合いのようなもの。

今日の私は原宿仕様ではなく、シックな黒のシンプルなワンピースを着ている。

実はこういった格好の方が好き。

彼が見たら、私っぽくないって言うかな。

ヤダ。
私ったら何を考えているんだろう。情けない。

"コンコン"
「失礼します」

挨拶して入って来たのは、葵ちゃんの部屋の前で何度も見掛けた彼女だった。

え?
な、なんで?
何で彼女がここに来るの?

彼女も私を見つけたようで、目を見開き驚きながらもニッコリと笑ってみせた。

対応が大人だ。
やっぱり彼女にはかなわない。