「甘味、処?」
「うん、見た目は完全にカフェみたいだけど」
目の前に広がる、お洒落な建物。
客引き用に置かれた和菓子のサンプルに、わたしは目を輝かせた。
実は、和菓子が大の好物。こんなところに、和菓子屋があったなんて……!
「いらっしゃいませ」
店内に入るなり、和装を身に纏った店員さんが、席へ案内してくれる。
「杏なに頼む?」
「ええっと……どうしよう……」
メニューに書かれてあるものが、全部美味しそうで決められないっ……。
ううーん……抹茶パフェも、美味しそう……でも、無難に白玉あんみつも食べてみたい……んん……決められない……。
「どれとどれで悩んでんの?」
「抹茶パフェと、白玉あんみつで……」
「ん、じゃあ俺あんみつ頼むから、一緒に食べよう」