"from:カボのお母さま"
"件名:今朝の朝食★"


"本文:山田さん、元気?今朝はシフォンケーキを作ったんだけど、思ったよりうまく膨らんだから写メっちゃうね★"





「…元気じゃないです。」


…っていうか、まだ寝起きだし。

携帯電話をパタンと閉じてもう一度布団に潜る。


チラッと時計を見ると、まだ7時になったばかりだった。学校はわりと近いから、30分を越えて起きてもゆうに間に合う。


先日カボファミリーの家に遊びに行った日から、カボのお母さまからたまにこういった可愛らしいメールがくるようになった。

それは別にいい。いいんだけれど送られてくる時間帯が問題だ。


…シフォンケーキ作り終わって今の時刻って、アナタ何時に起きてるんですか。

お母さまは見た目は少女のようなのに、中身は早寝早起きの老人体質らしい。


…ちなみにどうでもいいが、シフォンケーキを枕にして寝てみたいと思うのはあたしだけだろうか。


むにゃむにゃとまた夢の世界に戻っていこうとするあたしの耳元で、また携帯が震えだした。

しかも電話だ。どうしてもあたしの携帯はあたしを起こしたくて仕方ないらしい。


「はーい……」


力ない声で電話に出たあたしの頭に、


「おはようございます山田さん!」


朝っぱらから元気が有り余ってるカボの声がキーンと響いた。


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