ケータイ小説 野いちご

山田さん的非日常生活

かぼちゃプリン




「僕、前世占いがカボチャだったんです」



…こんな男、誰だってお断りだ。

そもそもあたしのタイプは堅実かつ真面目な、収入の安定した大人の男なのだから。


夜10時のコンビニ。

決まって定刻。なぜかいつもかぼちゃプリンを一つ買っていく、変な男。


…前世がカボチャだなんて、ものすごい悲劇だと思うんですけど。


「カボチャはお好きですか、山田さん」


にっこり笑って、いつもと同じようにレジ前にかぼちゃプリンをコトン、とのせる。


…どうしてあたしの名前を知っているんだろう。

一瞬不思議に思ったが、自分の胸元に大きく「山田」と書かれた名札がついていたのを思い出した。


山田。山田幸子、17歳。

ああ、なんて平凡でありふれた名前。


ちなみに、この彼の名前は「カボ」という。

年齢は不詳。多分、あたしより年上。


カボっていうのは、あまりにも毎日毎日かぼちゃプリンを買っていくものだから、あたしが勝手に命名しただけなのだけれど。



「嫌いです」


にっこり笑ってそう言うと、カボは雪崩でもおきそうなほどにガックリと肩を下げて帰って行く。

手にぶら下げられた小さなナイロン袋がしおれてしまって哀愁を漂わせていた。


客がいなくなった店内で、ため息一つ。


コンビニの白い蛍光灯の光から外の暗闇へと帰って行く後ろ姿のカボの金髪は、眩いほどに輝いていた。



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