――龍樹サイド――


「でっさー俺『じゃあ俺が相手してあげよーか?』って親切心から誘ってあげたわけよ」


「……」


「そしたらそいつなんて言ったと思う? 『軽い男はキライよッ』パーンッ……だぜ?」


口振りから声色から仕草まで事細かにフラれ話をしてくるこいつ、久遠薫。

なぜか本人曰く「お前を追いかけて」Y大までついてきた。

しかもうちの隣のアパートを借りて。

学校が始まるまでのこの数日、毎日のように押しかけてきている。


「もー俺それで冷めちゃってさー、あれから二週間ヤってないんだよね」


「知るかんなこと」


だからなんだという話。

お得意のナンパでもしてこいってんだ。


「お前はいいよね。可愛い彼女がいてさ」


「指一本でも触れたら絞め殺すぞ」


「やっだわ龍樹くんたらぁ~」


「ハア…。つーか何しに来たわけ」


どうせ大して用事もないんだろうけど…。

だからこそ邪魔。

泊まられたら迂闊に悠由に電話もできない。