――桜ひらひら舞い落ちる

春の日差しに照らされて

新たな出会いと始まりに

弾む心を落ち着かせ――





「……なんてゆー気分じゃない!」


今日とうとう高校三年生になりました澤村悠由です。

見事(難なく)大学合格をこなしたあたしの彼氏、篠原龍樹先輩が先月卒業し、学校に来るのがこの上なく楽しみじゃなくなった。


親友の和泉杏子に「つまんな~い」と何度嘆いたことだろう。


「先輩に会いに来てたわけでもないでしょーに」


「そーだもん」


「……」


でも…。

杏子とも美紅ちゃんとも同じクラスになれたからいいか…。


「俺もいるんだけど…なっ♪」


そう言って肩に乗っかってきたのは、(一応)幼馴染みの翔くん。槙野翔くん。


「アンッタがまた一緒なんて…ちょっと。裏に手ェ回してるんじゃないのー?」


「一生徒の俺にんなことができるか」


相変わらず杏子と翔くんは仲が悪い。

心底嫌い合っているのだからどうしようもない。


「まーまー。とりあえず教室に行きましょう」


おろおろするばかりのあたしと違って大人な美紅ちゃんが、睨み合う二人を制止してくれた。


…まあ、そういう美紅ちゃんも杏子とはしょっちゅう口喧嘩をするんだけどね。