「湊ちゃーん、俺も今フリーなんだけど?」


吉井に顔を覗きこまれて慌てた。


そんなに見ないでよー。
赤くなってるのバレるじゃないっ。


必死に顔を背けながら

「フリーって……何が?」

って訊き返すとズルッてコケられた。


そこへリカが割って入ってきた。


「ねぇ、吉井ってサッカー部のマネと付き合ってるんじゃなかったの?」

「リカちゃん、それは先週までのハ・ナ・シ」

「ふーん。もう別れたんだぁ~」

「そういうこと!
だからさ、ね? フリー同士どお?」


って、またあたしを見る。


「だからなんの話?」


そしたらまたズルッてされた。


冗談にしても、先週別れたばっかのくせによく言うよ。

そこへ、呆れているあたしの視界に突入してきたピョンピョンと飛び跳ねる女子。


「あたしもあたしもっ!フリーでーす!」


ハイハイって手を挙げて、ニコニコしながら跳ねてるリカ。

確かにリカもフリーだけど、いつも『あたしは一途な性格だから』なんて言ってるくせに、よく言うー。