「はぁ~」


放課後、自分の席にペタリと座ったまま溜め息をついたあたしの元へリカがやって来た。


「ちょっと湊ー、 なんか生気が無くなってるよ?」

「ふぇ~?」


情けない声を漏らしてあたしは、右隣の席に目をやった。


さっきまでそこに座っていた人物は、ホームルーム終了と同時に席を立ち

『今日はどうもね』

って、少女漫画さながらの笑顔を向け教室を出て行った。


今さらだけど、辻之内が“王子”なんて呼ばれてる理由が理解できるっていうか。

度を超すほどの整い過ぎたルックスのせいだけじゃないらしい。


あの『ん?』ってキョトン顔するとことか。

真っ白な歯を見せて笑う時なんて、バックに薔薇の花が見えちゃうほどだし。


彼の隣の席に座りたい女子なんて学校の中にごまんといるだろうけど、実際に座ってみないとわかんないんだろうな……この感覚。