高校時代、親友に好きだと言えないまま別れてしまった主人公が、教師として帰ってきた母校で目にしたものは、その彼とそっくりな甥っ子の生徒だった…


高校教師の生徒への禁断の愛(しかも男同士、しかも甥っ子だから他人)っていう、“禁断感”をこれでもかってつめこんだ作品です。


しかも主人公が好きなその男子生徒は新任の女性教師が好きで、でもその女性教師は主人公のことが好き…さらに主人公と、かつて好きだったその親友とも仲の良かった女性がいて、彼女も主人公のことが好きらしく、さらにはその甥っ子に片想いしている女生徒もいて…っていう、これだけの量の「伝わらない想い」がもやもやと宙にういていて、作品全体がずっと“恋の微熱”を帯びたままに進行していきます。


他の生徒が登場してくる回も、本心を隠したり偽ったりしながらすごしているのを主人公が見て、「言えなかった後悔」をかかえている彼がそれだけはさせるまいと熱血教師ぶりを発揮しているのが頼もしくもあり、また切なくもあるんですよね。


後悔というのはその状況のまっただ中では起こらない、必ず「後になって」やってきます。その痛みを知っているからこそ、主人公は強くなれた。自分と同じあやまちをくり返して欲しくないから。
そういう弱さを味わってきたからこそ、人は強くなれる。そういう人たちのもつ言葉や行動は(マンガであれ小説であれ)、多くの人を勇気づけることができる素晴らしいものだと思います。