すごく天然な女の子が、捨てられてた仔猫たちの世話をきっかけに獣医師を目指す男性と同居するというお話です。


世間慣れ、男慣れしていない女の子が自分のイノセントさを苦にしてなかなかまわりと打ち解けられない、そこへ一人の男性と出会うことによってしだいに自分 や周りを受け入れられるようになる…


よくあるテーマかと思いますが、これは登場する男性も、そしてマンガ全体のトーンも“透明感”におおわれていて、それがとてもすがすがしくて心地よかったです。




「好き」という感情を知らない女の子がそれに気づくまでの過程を描くというのはつまり「好き以前の気持ち」がじょじょに変化していくということですが、そ れは「いっしょにいたい」「この人の笑顔が見たい」「この人の悲しみがすごく伝わってきて、いっしょに泣いてしまう」というような、ひじょうにシンプルな 気持ちからきているんですよね。


それが高じて「好き」という感情に変わってしまうと、「この人のことをもっと知りたい」「この人の心や姿が見えなくなったりするのがイヤだ」という独占したい気持ちがふくらんできて、また「私のことも知ってほしい、わかってほしい」といったふうに相手にも同じものを要求するようになり、どんどん「苦しい感情」も増していくことになります。

 
そういうものもふくめてしまう「好き」という感情というのはやっぱりあつかいにくくてむずかしいものなんですが、そういう要素があるからこそ、よりいっそう“深さ”が増す感情なんだと思いますね。