「おー、おかえり」


「……なんでいるの?」


「なんで?

いたらあかんの?」


「だってここ私の部屋なんだけど」


「ええやん」


「私はヤ」


あたかも自分の部屋であるかのように、私のベッドでくつろいでいる彼。


私にはちょっと大きすぎるベッドが、背の高い彼が寝ると小さく見える。


「だってなァ、今日うち誰もおらへんねん。

ボク、寂しゅーて寂しゅーて……」


「……普段は1人暮らしのくせに」


持ったままだった重いカバンをドサッと机の上に置く。


「なんや、久しぶりなのにえらい冷たいやないの」


「元からだよ。

それより早く出てって、着替えるから」


制服のリボンを外しながら振り返ると、こっちを見ていた彼と目が合った。


「……っ」


やっぱりだめだ……。


何年経っても全然慣れない。


昔から苦手なんだ、この人。


齋藤スズ。


私の5歳年上の幼なじみ。