「さっみぃ〜…」



冷たい風に当たり俺は反射的に呟いた。



車にもたれてるリクが、「そろそろ行くか?」と鍵を取り出した。



そのとき、その車の後ろから自転車が通り抜ける。



カゴには黒のチェーンバッグが置かれていた。



どこかに出かけるのだろうと思って、その自転車に乗っている人物を見る。



そこには、俺好みの綺麗な女。



時が止まって欲しいと思った。



一瞬にして速さを増した脈に、彼女捕われたままの俺の目。



あの女を俺の女にしたいと思った。



それと同時に、どこかで見たことがある気がしてらなかった。



妹の友達か?



前の女の知り合いか?



そんな風に思いながら彼女が過ぎ去るのを見つめていた。



「響夜?」

「あ?」

「早く乗れよ」

「あ、あぁ…すまねぇ」



リクにかけられた言葉で我に帰った。



寒さも感じて、直ぐ様俺は車に乗り込んだ。



「時間、間に合うか?」

「なんとかなるだろ…」



リクの問いかけに適当に返事をしてシートベルトをする。



車の中ではロックバンドの激しくなり響く。