昼休みの教室はガヤガヤと騒がしい
何故なら“王子”がこのクラスだから


この2-Aにアイツが居る限り、先輩も後輩も集まってくる。



「ほら有希、パン買いに行くんでしょ」

「あ、待って待って!」

「置いていくわよ」


私と美奈ちゃんはこのクラスでは孤立している。
理由は勿論、彼に媚びないからだ。


美奈ちゃんには他校に婚約者(17歳で婚約者って凄い)が居るし、私はアイツよりスーパーの安売りチラシに夢中だ。




どこの学校でも一緒で、群れたがる女子はすぐに陰口を叩く。

「篠原さんも何であんなのと…」
「貧乏人に昼食を奢るなんて…」


あんなのって何よ
…あームカつく
言いたいことがあるならはっきり言えばいいのに

私は怒りを抑えられず、
彼女たちの前に立った。

「ねぇアンタらさぁ、」

「有希!…行くわよ」

「…わかった」



野蛮だなんだと口々に言う女の子の刺々しい視線と共に、何故だが王子が私を見ていたような気がした。