片岡和人は他の人から見れば、きっとすごく女慣れをしている男だという印象を受けたと思う。

実際、彼を古くから知るの友人達の語る彼の過去の女性遍歴は凄まじいものだった。


だけど、私が彼と一緒に同居してから見た女性の影はハルナちゃんただ1人だった。


そんなんだから、彼とハルナちゃんはきっと上手く行くだろうと内心私は落胆していた。

ところがある日、彼の口から、ハルナちゃんには彼以外に想いを寄せている男の子がいるらしいと言うことを聞いた。


ごめん。

正直、私、ラッキーとか思っちゃった。

フラれろー!

諦めろ!とか思って喜んじゃったんだ。


だけど、片岡和人はハルナちゃんのことを考えているのか、凄く無口になるし、時折、苦しそうな目をしていることに気付いたんだ。


そして、溜息の数だけ彼が、私が入り込む隙間も無いくらい、ハルナちゃんのことを想っている事が伝わってきて・・・・・・。

私も苦しくなった。

それだったら、ハルナちゃんと上手く行ってハッピーな顔を見せてくれる方が、私も諦められるし、その方が温かい気持ちで祝福できるのかもしれないのに・・・と自分勝手にも、そう思っていた。


でも、内心は、私はハルナちゃんになりたかった。


こんなにイイ男の視線を釘付けにしておきながら、それでも他の男の子がいいと言う彼女を全く理解できないでいた。


私が彼女だったら、片岡和人をこんな風に苦しめたりしない・・・・・・。


私は、息が苦しくなるほど、彼女を羨み、そして嫉妬していた。