駅から5分くらいで彼の家に着いた。

あっ、名前聞いてなかった。

「お名前は?」

「そういえば、言って無かったか。川村龍[カワムラリュウ]だよ。」

自分の名前も言って無かったかも。


「あたし、葉月紫苑です。」

「いい名前だね。しおんって、花のこと?」

「はい。母が紫苑が好きで。」

紫苑は秋に咲く花だ。

母が紫苑が好きで、あたしが秋生まれだから名前を紫苑にしたらしい。

「敬語はやめてよ。名前も呼び捨てでいいから。」

「はい。じゃなくて、うん。////」

あたしがうんって言ったら龍が満足そうに笑った。かっこいい。

ドキンッドキンッ

あたし、どうしたんだろ。
ガチャ


わぁ

シンプルできれいに片付いてる。あんまり広くはないけど、落ち着いた感じの部屋だ。もっと散らかってると思ってた。


今気づいたけど、あたし、お金ないんだよね。

ここに住まわせてもらうのに、お金かかるよね。

どうしよ(泣)

↑本日2回目




「あの!」

「ん?」


「あたし、お金持ってないんで、でも、追い出さないで下さい。他に行くとこ無いんです。」

「うん。良いよ。また敬語になってる。」

「はっ。あ、ありがとう。掃除、洗濯、家事、育児何でもするから。」

「子供居ないし。」

「そだね。」

バカ。変なこと言っちゃった。

「よろしく。」

「うん。」


あれ?きれいなのに、ベッドの近くだけ雑誌が散らばってる。

早速片付けよ!

がんばるぞ






龍サイド

駅でめちゃくちゃ可愛い子を見つけた。
               一目惚れっぽい。            
泣いてるぞ。

勇気を出して話しかける。



なんじゃ、その親。可愛いから男が寄るのは分かるけど、危ないだろ。

俺にはラッキーだけど。

俺一人暮らしだから普通に家に呼べる。