「やあ」

 ぶっきらぼうに入ってきた30代後半と見受けられる男に、その青年は軽く手を挙げた。

「呼びつけるな」

「お得意さんだよ」

 そこは、複数のディスプレイが並べられた部屋──モニタールーム──ディスプレイは、どこかの敷地を映し出しているようだ。

 ここにいる10数名ほどが、『とある場所』を常に監視している。

「はい」

 青年は、笑顔でヘッドセットを手渡した。

 男は無愛想にそれを受け取り、右耳に装着する。

 ボタンを押すと、ヘッドセットの右目の前にある小型のディスプレイに文字が映し出された。