「ごめんなさい…」

「気にすんなって。初めてじゃ知らなくて当たり前なんだからさ」


朝、達也が目を覚ますと、隣で寝ているはずの瑞希の姿がなかった。

洗面所にもバスルームにも瑞希の姿はなく、キッチンで漸く見つけた。

「おはよう」

と、達也が声を掛けると、「おはようございます」と瑞希も挨拶を返したが、何やら心許ない様子で泣きそうな顔をしていた。


朝、瑞希は心地好く眠りから覚める事が出来た。
内容は覚えていないが、楽しい夢を見ていた気がする。

ふかふかで軽く軟らかい羽毛布団と、何かは分からないが、頬に当たる温かな優しい温もり。

それにほお擦りをしてゆっくり目を開けると、形のいい鼻と桜色の唇が目の前に…