「ごちそうさま」

「あ、いえ、どういたしまして…」

会計を終えた瑞希に達也がお礼を言うと、瑞希は恥ずかしそうに返事をした。
人にご馳走したのも、人から“ごちそうさま”と言われたのも、瑞希には初めての経験だった。


2種類のサラダとウインナーを二人でつまみ、達也はハンバーグとライス、瑞希はカルボナーラを食べた。

「美味しかったですね?」

「あ、ああ、そうだな」

と言ったものの、達也にとっては特にどうという食事ではなかったし、瑞希に気を取られていて、味わうどころではなかった。

瑞希はドリンクバーも初めてで、飲み物の注ぎ方を達也が教えてあげた。
何杯でもお代わり出来ると説明したら、目を丸くして驚いていた。

そして、何を食べても“美味しい”と言い、残さずきれいに食べていた。

そんな瑞希を見ていて、ある事に達也は気付いてしまった。