「池上君、ちょっとこっちに来て?」

春田は達也の耳元でそう囁くと、達也の腕を引っぱった。瑞希に内緒の話をするためなのは明らかだ。

瑞希から数メートル離れた所で、瑞希が怪訝そうにしながらもその場を離れない事を目で確かめてから、春田は達也を向いて話しを始めた。

「君達、いつの間にか名前で呼び合う程、仲良くなったみたいね?」

「それは…、まあ…」

「付き合うの? っていうか、もう付き合い始めた?」

「まあ、そうですね」


本当は瑞希が虐めに合わないよう、付き合っている素振りだけなのだが、春田の口からそれが漏れる危険があると思い、達也は本当の事は言わない事にした。