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仲間になった多々良は外出を許された。
アジトを案内して回ってもらい、何事にもに差支えなく暮らせるようにもなった。
今日も今日とて、呉壽に台所の使いかたを教わり。
仲間に武術を教わり。
今は架妥に周辺を案内してもらっている。
「この先は崖だ。
気を付けないと、道との境目がわかりにくくなってるから…。」
ふんふんと頷きながらも興味津々で歩き回っていた多々良の足元が急に崩れた。
「死ぬぞ。」
間一髪、多々良の首っ玉をつかまえながら、架妥は冷静に言う。
多々良は冷や汗を垂れ流した。
「そういうの、もっと早く言ってくれないかな?」
「もっと真剣に話を聞け。
ここはお前の育った街とは違って、山なんだからな。」
ごもっともです。
多々良は襟首を正しながら、唇を突き出した。
「こっちが万が一のときの逃走経路だ。
この間みたいな襲撃をうけたら、子どもを連れてこっからにげろ。」
「わかった。」
「この先、分かれ道になってるが、左に行ったら先は崖だ。」
間違えたら死ぬぞ、とこれまたさらりと言われ、多々良ははいと頷くしかなかった。
「…崖が多いんだね。」
「当たり前だろ、山だ。」
山、ね。