―狗喰い~刻のまにまに~―


 俺はこの娘を殺そうと思った。

 なあに骨と皮ばかりになっちゃあ、泣きわめきもできないだろう。

 夏の暑い日だった。

 その細い首に二重に紐をくくられちゃあ、慌てて騒ぐかもしれねえが、後の祭りさァ。

 売ってやる。俺の犬を殴りつけて犬汁にした奴らに。

 値が安ければ安いほどあんばいが良い。

 なあに二本足の犬なんて珍しくもねえ。

 着物は足が付く。

 むしろ捨てた方がいい。

 もしばれたら? 誰にだい?