亮介さんは、今日から五日間の出張で九州へ行ってしまった。

昼間は大丈夫だけど、夜になると寂しかった。ついこの間までは一人で平気だったのに、今は例え一晩でも亮介さんがいないと、寂しくて堪らなかった。


そんな時、誰かの来訪を告げるチャイムが鳴った。

もしかして、亮介さん?
出張が取りやめになったとか?

そんな淡い期待をしてインターホンを取ると、聞こえてきたのは低い男性の声ではあったけど、亮介さんではなかった。


落胆しながら玄関のドアを開けると、紺のジャンパーを着た黒崎さんが、無表情で立っていた。

「夜分にすみません」

「どんなご用ですか?」

「あなたと是非お話をしたいというご婦人がいらっしゃいまして、車の中でお待ちでございます」