翌朝、美緒ちゃんを学校に送り出し、私もマスターと一緒に喫茶店へ向かった。

「まだ早いから、小枝ちゃんはいったん家に帰ったらどうだい?」

「いいんです。泊めてもらったお礼に、只働きしますよ」

「あはは。面白い事を言うね」

「あ、そう言えばそろそろクリスマスの準備をしなきゃですね?」

「もう12月か。月日が経つのが早いなあ」


去年のクリスマスはどう過ごしたっけかな…

思い出せないや。たぶん来てくれるはずもない琢磨を待つともなく待って、結局はいつもと同じく、独りで過ごしたんだと思う。

今年のクリスマスは……


マスターが裏口のドアに鍵を差し込んでいると…、

「小枝子…」

背後で私を呼ぶ声がした。