タカがあたしのことを好きだってことくらい、わかってる。


けど、でも、あたし達は恋愛なんかする気はない。


どんなに望もうとも、あの人はあたしを縛ろうとなんてしないし、きっと互いに見たくないことには蓋をして、関係を構築しているだけ。


それは恋人同士なんて呼べないから。



「リサ、最近マジで付き合い悪いよね。」


梢はポッキーを食べながら、あからさまに口を尖らせた。



「もしかして、男でも出来た?」


「勘弁してよ。」


と、返したのに、彼女はまだ疑うような瞳を向けてくる。


あたし達の間には、上辺だけの薄っぺらい友情しかなく、暇な似た者同士がつるんでいるだけ。


だから、いちいちうるさい梢には、ぶっちゃけ苛立ちも生まれていた。



「アンタの方こそ、最近どうなの?」


聞いた瞬間、彼女はポッキーを咥えたまま、頬杖をついて窓の外へと視線を投げた。



「あたし、あっくんのことマジになっちゃったかもしれない。」


「はぁ?」


「向こうも好きだって言ってくれてるし、あっくんといると楽しいんだよね。」


あんな、見るからに遊び人な男なんて、どこが良いんだかもわかんない。


まぁ、あたしが口を出すことでもないけれど。


梢はいつも相手の外見ばかり気にして、8割方、顔で選ぶようなヤツだ。



「付き合ってんの?」


「付き合ってないけど、ほぼ毎日会ってるし。」