さすがに高3ともなれば、模試が終わっても期末試験があるので、気を抜くことは許されない。


まぁ、別に赤点さえ取らなければ良い、というような考えのあたしは、最初から爪弾きにされた存在だけど。


開きっ放しのノートにぐるぐるとラクガキを施していた時、



「ねぇ、リサ!」


携帯片手の梢が声を掛けてきた。



「久々に息抜きで、パーッと遊ぼうよ!」


アンタは常に遊んでるでしょ。


と、思ったけれど、でも面倒なので言わなかった。


梢が夢中になっているあっくんという男は、とにかく良い噂なんて聞いたことがない。



「梢、あのさぁ。」


「ん?」


「アンタさぁ、あっくんとかにあんま関わんない方が良いんじゃない?」


視線を移した瞬間、彼女は眉を潜めた。



「何よ、いきなり。」


だってあいつら、アンタを穴だとしか思ってないよ。


なんて、言えるはずはなくて、用意していなかった回答を探してしまう。



「とにかく、やめときなって!」


だから強い口調で言ったものの、



「リサだってろくでもない男とヤッてばっかのくせに、あたしが文句言われる筋合いなくない?」


逆に睨まれ、吐き捨てた梢はその場を去った。


彼女の大声に、教室中の誰もがこちらを好奇の目で伺っていて、嫌になる。