【紫苑side】 「残念ですが、今夜が山ですね」 家に着いてシロの頭を撫でながら、小さく息を吐く。 数日前からシロは食事をとらなくなった。 心を鬼にして、口の中に押し込もうとするとシロはそれを嫌がる。 そして、ついに水を飲まなくなったシロを動物病院に連れていくと、獣医は首を横に振った。 その言葉の意味を知ると、胸の中に熱いなにかが込み上げてきて、それを抑えるためにシロの入ったゲージを抱えて急いで家に帰ってきた。