今日は雨が降っている。
じめじめしているからか気分が悪くておだは丸くなっていた。

ゴーンゴーンゴーン…

柱時計の無機質な、けれどどこかあたたかい音が響きわたる。

おだはこの音が好きだが、今日はこの音のために異変に気付いた。

−−−いない。帰ってきてない!

少女が教室から帰ってきていないのだ。
この時間なら大抵帰っているのに。


…いつもなら道草でも食っているんだろうと思うのだが、今日のおだにはそうは思えない。

−−−おじいさん…。

今日は最初の主人の命日だ。