あの「缶コーヒー」の出来事から、数日が経つ。

 あたしの短い春休みも、今日でおしまい。

 明日からは、また学校が始まる。

 その日も、あたしは朝から起きて洗濯物や買い物などを済ませてお昼からのバイトに備えるために動いていた。

 やるべき用事を済ませて、昨日の晩御飯の残りで簡単なお昼にする。

 今日もラストまでだから、しっかり食べないと。

 小さな丸テーブルの前に座り、お昼ごはんをゆっくりと食べながら、窓の外の青空を眺める。

 ……もうすぐ、あの季節になるのね……

 思い出したくないけど、決して忘れられないあの出来事。

「……」

 ちらり、と部屋の隅に目をやる。

 綺麗な布に包まれた小さな箱が2つ、その前には両親が笑顔で写っている写真が1つ。

 お墓を建ててあげたいし、無理してバイトのお給料の中から少しずつ貯金しているけれど――まだまだ。

 矢代の家から出て行くときに、両親の骨も一緒に持ってきた。

 きっと、あの祖父がひどいことをしそうだと思ったから。