「……」

 受話部を耳にあてる。

 心臓の鼓動が暴れているように大きい。

 電話をするだけなのに、どうしてこんなに緊張して心臓が飛び出しそうになるのかな……

 落ち着こうにも、落ち着けない。

 やっぱり――相手がシンさんだから、よね?

 信号のような機械音のあと、程なくして呼び出し音が鳴り響く。

 無機質な音だけど、それを聞くだけであたしの頭はショートするかと思った。

 留守電とか、マナーモードとかにならないかな……?

 かけておいてそう思うのもどうかと思うけれど。

 緊張しすぎて、そんなことを考えてしまう始末だった。

 1コール、2コール、3コール……

 5コール鳴らしても出なかったら切ろう――時間も時間だし、それ以上は迷惑かもしれない。

 心の中でそう決めた瞬間、

『――はい?』

 呼び出し音が途切れ、電話が繋がった。