[亮太SIDE]




「ねえねえ、何作ってるのお?」

「んーっとね、砂のお家!」




そう答えると、女の子は

"一緒に作る!"って言って隣に来た。


その女の子は

たまに公園でお母さんと一緒にいる。


いる時は決まって

話しかけてきてくれるんだ。




「亮太くん」

「なあに?」

「あのね、優しくて可愛い亮太くんが大好きっ」




そう言われた瞬間、

俺の心臓は微かに跳ねた。




あの日以来、

一度もあの子と出逢うことはなかった。


でも、幼いながらに俺は

確かにあの子に恋をしたんだ。