あたしたちの周りで、キャーキャー言ってる女の子たち。黄色い歓声が辺りを包んでいた。

「うるさっ…」

大ちゃんが、顔をしかめて呟く。

その原因を作ってるのが誰か、あなた分かってないでしょ?


「いやー…とうとう俺らも卒業かー…」

海斗が、卒業証書の入った筒上の入れ物を、上に投げながら言った。

「早かったね。」

柚ちゃんが、真っ赤な目をして下を向いた。

泣いたんだろう。

あたしの目も負けないくらい赤いけどさ。

「美憂も目真っ赤。そんなに俺と離れるのが寂しいんだ。分かるよ、俺も寂しい!」

「遼にはいつでも会えるもんっ」

横から抱きついてきた遼の顔をそっと見上げた。この1年で、遼と大ちゃんの身長は一気に伸びた。

大ちゃんは、あたしと対して変わらなかったはずなのに、今じゃ槙といい勝負。

遼は、あたしと10センチぐらいの差ができた。見上げなきゃ話せない。


「じゃあ何で泣いてんの。」

「雰囲気にやられたの。」

「可愛いなぁ、もう。」

あたしの言った言葉を聞いて、遼は抱き締める力を強めた。


「おい、チビ。」