実母が死んだのは、5歳の冬の日だった。

29歳と言う若さで、実母はこの世を去った。

若くてキレイだったその人は、今でも僕の理想の人だ。

艶やかで美しいストレートの黒い髪に雪のように白い肌、鮮やかな赤色の唇、いろいろな意味で魅力を感じる細い躰を今でも思い出す。

僕の名前を呼ぶ優しい声も大好きだった。

全部好き。

若くてキレイな、僕だけの母親。

そんな母親が亡くなったのは、雪の降る冬の朝のことだった。

目が覚めたら、この世からいなくなった後だった。