─────── バタンと閉まったドア。 司さんの瞳が見つめてたのは惟一人で、 そんなのは、嫌でも分かってる。 痛いよ、なんでこんなに辛くならないと、前に進めないんだろう。 「…振られちゃったねー」 横に並ぶその綺麗な男の人は何にも感情を込めない声を向ける。だけどその微笑は全て、預けたくなる位優しくて、でも、 「振られてなんか…いません」 あたしは強く彼を睨みつける。 …振られてなんかないもの。